時間の続きを、手渡す。
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作品をつくっていると、
ときどき、
想いを馳せることがある。
自分がいなくなったあとも、
このジュエリーたちが、
誰かの日常の中に残っていくことを。
朝、
ピアスを身につける。
鏡の前で、
髪を耳にかける。

ネックレスを整え、
ニットの袖を通す。
いつものリングに、
もう一本、重ねてみる。

そして、
一日を終えたら、
そっと外す。
そんな小さな繰り返しの中で、
ジュエリーは少しずつ、
その人の時間を纏っていく。
表面に生まれる艶。
やわらかくなっていく、
光の表情。
毎日触れられることで残っていく、
小さな痕跡。
新品のまま整っている美しさとは違う、
とても個人的な美しさがある。
ジュエリーは、
人よりも長く残っていく。
作り手の手を離れ、
いつか、
持ち主の手も離れ、
その先の誰かへ、
受け継がれていくこともある。
つくった人も、
最初に選んだ人も知らない時間を、
ジュエリーだけが、
静かに過ごしていく。
昔から、
変わらないものより、
時間を重ねながら
移ろっていくものに惹かれてきた。
季節の光や、
空気。
ふとした匂い。
年齢とともに、
少しずつ変わっていく感覚。
同じ時間は、
二度と来ない。
変わっていくことは、
少しずつ失われていくことでもある。
けれど、
そこに残った痕跡は、
時間が確かに存在した、
証でもある。
私は、
その痕跡に美しさを感じる。

Perché?storiaのアトリエで、
作品をつくり、
手渡しながら、
13年が経った。

その間に、
いくつのジュエリーが、
ここから、
誰かの日常へ向かったのだろう。
誰かが身につけ、
毎日の時間を重ねながら、
少しずつ、
その人のものになっていく。
そんな姿を見るたびに、
私はジュエリーをつくっているというより、
時間の続きを、
手渡しているような気持ちになる。
誰かの髪に触れ、
季節ごとの服に馴染み、
何気ない朝に、
いつものように選ばれる。
そうやって、
手渡したその先で、
その人と一緒に、
また別の時間を重ねていく。
Perché?
Perché?storia
13th Anniversary special month
2026.9.4 fri — 9.28 mon