実りを、連ねる。
Share

以前、ベランダに、
名前の分からない植物が、
気がついたら静かに、力強く育っていた。
小さな実なのか、
蕾なのかも分からない。
「鈴なりに実ってるな」
いくつも連なっているその姿を、
とても美しいと思って見ていた。

2015年。
その記憶から、suzunariは生まれた。
suzunariの粒は、
純銀からつくる。
純銀を溶かし、
ローラーで伸ばし、
線引きで引いて、
一本の線にする。
その線を短く切り、
先端にバーナーの火を当てると、
銀が丸みを帯びて、粒になる。

粒の大きさは、揃えない。
意図して変えることもあれば、
火の当たり方で、
違いが生まれることもある。
その違いを残したまま、
種、蕾、果実。
三つの表情をもつ粒を、
一つずつ連ねていく。
繊細なK18のチェーンに、
純銀の粒を連ねると、
金の線の間に、
銀だけがふっと浮いて見えた。
少し離れて見ると、
細い金の線と、銀の点。
近くで見ると、
一粒ずつ違う丸みがある。
一粒なら、銀の小さな点。
いくつも連なると、
鈴なりに実って見える。
繊細で、
どこか儚い。
けれど、
バーナーの火で形づくられた銀の粒には、
生命力のような力強さがある。
いくつもの粒を、
房のように揺らす。

K18の細い線に、
純銀の粒を連ね、
胸元に実りを描く。
粒の数や連なり方で、
suzunariの表情は変わる。
鏡の前で見比べていると、
自分にしっくりくる実りのかたちが、
少しずつ見えてくる。
実りは、
ひとつの終わりであり、
次の始まりでもある。
終わりと始まりが、
同じところにあり、
また巡っていく。
豊かさと繁栄が、
身につける人のもとへ、
途切れることなく、
巡っていくように。
そう願いながら、
小さな銀の粒を、
一つずつ連ねていく。
Perché?