
福岡薬院に、アトリエがある。
今年で13年目。
その前は、隣のビルに11年。
場所が変わっても、変わらないことがある。
作り方だ。
切る。
叩く。
伸ばす。
削る。
磨く。
全て、手で。
工具と金属が直接ふれ合う、昔ながらの彫金スタイル。
この方法でしか出ない、手触りがある。
この方法でしか生まれない、精度がある。
そして、全ての作品は図面から始まらない。
頭の中に、積み重なったものがある。
記憶、風景、旅先で見たもの、ふと感じたこと。
言葉にならない、なにか。
それを、手を動かして形にしていく。
だから同じ形はない。
たとえ同じ名前のリングでも、今日作るものと昨日作ったものは違う。
そういうものだと思っている。
作業の中では、特にロウ付けが好きだ、と思う。
金属と金属をガスバーナーで接合する作業。
熱と、光と、一瞬の判断。
うまくいったときの感触は、他の工程にはない。
手が、覚えていく。
人気のフラットバングルは、K18の塊をローラーで伸ばしたものから始まる。
そして金床の上で金槌で叩く。
トントンとんとん……
曲げる。
丸く、均一に。
開閉部分を作る。
着けやすく、でも外れにくい。
内側にはバネをかけて。
ここもヘラで丁寧に。
形ができたら、研磨。
どの角度からも美しく。
肌が触れるところは滑らかに。
着け心地は軽やかに。
シンプルなものほど、難しい。
bubbleチェーンも、貴金属の塊から始まる。
まずローラーで伸ばして、角材にする。
それを線引き版でちょっとずつ細くしていく。
これを線引きと呼ぶ。
必要な太さまで、少しずつ引いていく。
ワイヤーができたら、小さなリングを作る。
それをひとつずつ手で繋いでいく。
頭に中のカタチが生まれていく。
ひとコマずつ
ちょっとずつ。
一本のチェーンになるまで、その作業が続く。

Perché?の石は、全て一点もの。
同じ種類のアクアマリンでも、カットが違う。
サイズがわずかに違う。
だから石座も、一点ずつ作る。
その石だけに合う枠を、そのたびに。
ワックスではなく金属の塊から。
緊張の石留めが終わったら、研磨。
指先が研磨剤で汚れるほど、磨く。
そのぶんだけ、作品は光る。

イニシャルチャームの刻印は、機械プレスではない。
鉄の刻印を一文字ずつ、トントンと手打ち。
だから、まっすぐじゃないこともある。
圧が、少し違うこともある。
たとえ同じイニシャルでも、みんなそれぞれ。
「自分だけのカタチが
あなたらしさを思い出させてくれる、
小さな光になりますように。」
そういう気持ちで、作っている。

やすりなどの工具がある。
ローラーがある。
バーナーがある。
研磨剤で汚れた台がある。

27年間、この道具で作ってきた。
場所が変わっても、
時代が変わっても
手が覚えていることは変わらない。
切り方、叩き方、磨き方。
その全てに、積み重なった時間がある。
手に渡ったジュエリーが、その時間を纏って、
毎日の暮らしの中に入っていく。
アトリエで生まれて、完成ではない。
身につけた人の時間と一緒に、
少しずつ完成していく。
initial charm — K18 gold / Silver(メッセージオーダー承ります)